君しか見えない
私に駆け寄った凜花の後ろに
真剣な顔をして私を見ている卓と目が合った。
凜花は私の肩をポンと叩くと、ニコッと笑って背を向けた。
卓に何か耳打ちすると、入り口にいた陵弥と2人屋上から出て行ってしまった。
ゆっくり卓の視線に目を合わせる私。
「沙織ちゃん…俺、まだ君が好きなんだ…」
…まだ、好き?
「友達から始めない?」
えっ?…
ど、どう言う……意味?
「絶対、好きにさせるから、それまで友達として傍にいさせて…
俺、絶対好きにさせるつもりだから」
そう言って私を抱きしめた。
……馬鹿な人…
不倫なんかしてた女をこんなに思ってくれて…
好きって言ってくれるなんて……
私……報われる恋してもいい…?
「…私なんかで…いいの?」
「沙織ちゃんだから…俺が傍にいてほしいのは沙織ちゃんだからだよ…」
…私…だから…?
「…私…不倫なんかしてた女だよ…」
「そんなの関係ない!俺の事しか考えらんない様にしてやるから!!」