君しか見えない
翌朝、ざわつく教室で凜花と昨日の事を話してた。
「えっ?付き合わない?」
凜花が驚いた。
「…ぅん…」
多分、凜花は私がまた卓を振ったと思ってるに違いない。
「…てか、卓から付き合おうとは言われてないんだよね…」
は?って顔する凜花に昨日、卓に言われた事を話すと……
ちょっと…照れる…
思い出すと顔が赤くなる…
それを凜花が冷やかす様に見て、ニヤリと笑った。
な、何よ…自分だって昨日、陵弥に………
幸せそうな凜花を見ると、やっぱり羨ましい…
卓はこんな私だけを見ていてくれた。
私…やっと報われる恋愛が出来る…?…
帰りは卓が私を迎えに来た。
「沙織…帰ろ」
昨日、突然沙織ちゃんから沙織に変わった呼び方。
友達からって言った癖に、特別な気がして……
正直…嬉しい。
迎えに来た卓は迷わず私の手を握る。
堂々と手を繋いで、堂々と2人並んで歩く。
報われない恋愛をしていた私にはそんな事が嬉しい。