君しか見えない






報われない気持ち……




あの、先輩の言葉が頭に残った。



後から好きになった私はズルイ……?




私が好きにならなければ、卓の気持ちを独占出来たとでも言うの…?…


「私は諦め切れないの、やっぱり気持ちは伝えなきゃ」


「えー告白する気?」


「そのつもりだけど…」




……卓に告白…?…


その言葉にズキッと胸が痛んだ。




卓は告白されたらどうするの…?…



私とは…友達……


何も言う権利なんかない。



卓は何を思うのだろう…





「…り…さおり…?」



教室の机に突っ伏していた私の頭の上から聞こえた声…



はっとして顔を上げた。


「どうした?具合でも悪い?」



そう卓が、私の顔を覗き込む。



「な、何でもないよ…」



出来るだけ普通に言ったつもりだった…んだけど…


意気なり私の腕を掴むと、私をグイグイ引いて歩き出す。




「ど、どこ行くの…?」


そう言う私に



「いいからッ!!」




普段の穏やかな卓から、想像出来ない強い口調だった。




階段を上がり、連れて来られた屋上。




< 17 / 23 >

この作品をシェア

pagetop