君しか見えない
屋上に来ると、卓が。
「どうした?…何かあった?」
って……
今の私に言う資格ある…?
まだ、彼女にもなってない私が……
「何でもない…よ…」
何だか…涙が出そうだった…
馬鹿だ私…
卓の事…好きになったのに、素直に言えないで…
卓は私が好きだからって調子にのってた……
もし、あの先輩が卓に気持ち伝えたら…
「今日…3年の先輩に好きだって言われた…」
…そう…なんだ…
私は目を伏せた。
正直、今は聞きたくない…
「…俺…沙織と付き合ってるからって、言っちゃった…」
…………えっ…?
それ………って………
「俺、友達なんかじゃいられない。
そんな泣きそうな顔してる沙織を、ちゃんと彼氏として抱きしめたい」
卓が私の頬に手を伸ばした。
知らないうちに頬に伝っていた涙を、卓が優しく拭いてくれた。
ふわりと私の身体が包み込まれて…
「俺と付き合って…」
私は卓に抱きしめられていた。