君しか見えない

夏休みまで、後、数日となったある日の昼休み。



私は屋上にいた。

目の前には3年の先輩…



「好きです。付き合ってくれませんか…」



…えーと…これは…



「…ごめんなさい…」



私が頭を下げた瞬間。


「先輩…沙織は俺のなんで諦めて下さい!!」




って、この声…卓…?


顔は可愛い笑顔なんだけど、目、笑ってませんが…



先輩は苦笑いしながらいなくなった。




「何で、告られてる訳?」

不満気な顔で卓が言った。

「そんなの私も知らない!それより、何でわかったの…?」



「沙織だけ見てるって言っただろ…だから…」




って、私を抱きしめた。



参っちゃう…

卓といたら、よそ見なんかする暇ないよ……
する気もないけど。


私だって…卓しか見えないもん……




もう…大好き…



「卓…大好き…」



不意に私が言ったら…

卓は耳まで真っ赤になった…



そして優しく微笑むと、そっと私にキスをした。









end



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