君しか見えない


ゴールデンウィークのある日、私は街をぶらついていた。







「こっちの方が可愛いいよ…」


聞き覚えのある声に視線を向けた。




そこにいたのは……



「じゃこれにする…」



お腹の大きな女の人…


その横でいたわる様に寄り添って、子供を肩車してるマサシ。


私になんか見せた事のない、幸せいっぱいの顔で。



…マサシの奥さん…?…




化粧気のない顔なのに、妻としての自信…?



母としての余裕…?



キラキラして幸せな家族ですってオーラが眩しいほど輝いてた。





…………そうゆー事……




私はこの時、全てを悟ったんだ。



マサシは奥さんのお腹が大きくなったから、私で欲を埋めていただけ…



高校生の私なら、奥さんと別れてなんてバカな事言わないと思って……






私は目を伏せて、逃げる様にその場から去った。




報われない恋愛の現実…

両思いにも、片思いにすらなれない……



行き場のない思い……




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