10年後の約束

リビングのドアをあけると薄暗い部屋に煙草の臭いが充満している。




そして私の目の前で母親は男と体を重ねていた。



『あ……ぁん…』



キモチワルイ…。


吐き気がする。



台所にあったパンを手にとり、逃げるようにリビングをでようとした瞬間。



男が私の腕をグッと引っ張り、床に倒した。





『若い体、いただき!いい体してるね。……ハァハァ』


酔っ払った男は私の服を乱していく。



母親はただ隣で狂ったように笑っている。





『やめてっ………や…めて』



声にならない声を精一杯に出して



力の限り男を押しのけた。




そのタイミングを見計らって私はダッシュで逃げた。




怖いこわいコワイ。





この経験は初めてではない。


2、3回はヤられそうになった。




それでも今日みたいに必死に逃げてきている。




私は外に飛び出して


思いっきり走った。





宛もなくただ走りつづけた





走って走って


走り続けた、
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