10年後の約束
先生は私が泣きやむまでずっと黙っててくれた。
ずっと隣にいてくれた。
やっと泣きやんで、
私がいつの間にか出していた言葉は
『家に…いたくないの』
だった。先生もなんとなく分かっていたように頷いた。
『家を離れても親は心配しないのか』
心配…?
するわけない。
『しないよ』
そう答えると先生は運転席に戻って車を発進させた。
行き先は私の家。
『この道どっち』
『左…』
このままずっと一緒にいたいと思っても素直に道を教えてしまう。
やっぱり話しても先生が何か出来ることじゃない。
話した事に少し後悔した。
あっと言う間に家に着いた。
すると先生の口から驚きの言葉が出た。
『荷物出来るだけ詰めてこい。ここで待ってるから』
『え?』
『早く』
私は状況の理解があまり出来ないまま自分の部屋の荷物を出来る限りまとめた。