10年後の約束
気付いたら私の頬には涙がつたっていた。
何年も流さなかった涙、
何でこんな時に出てしまうの…?
先生はめんどくさいって思っただろうね。
涙なんて何で出るの?
しかも初対面の人の前で。
先生にめんどくさい女って思われたくない。
いくら好きでも…。
言えない事がある。
先生に話して、私の事全部知ってもらいたいとは思うよ。
だけど、知ったらきっと滅亡する。
それが怖くてもう何年も一歩踏み出せない自分はホントはすごく弱いんだって思い知らされる。
その時先生の手が私の頬に触れ、涙をすくった。
『すいません』
慌てて涙を拭き取り作業を続ける。
『言えるようになったら言えよ』
そんな言葉をくれる先生の優しさが伝わる。