シャンゼリゼで待ち合わせ



反射的に体が固くなる私。



「はいっ」



「おまえ、フランスに行くらしいな」



「あ、はい、あの、今日ちゃんとお話しようと思ってて…」



「そんなに簡単に辞めさせると思うか!バカ!!」



わぁぁー!



だから、心の準備をしたかったのにー!



でも、隣りに座る紗江子は、なぜかクスクス笑ってる。



どういうつもりで来たのか知らないけど、失礼じゃない!?



私が困るのを見て楽しむような子じゃないと思ってたのに。



「ご、ごめんなさいー…」



私は、これ以上ないくらい体を小さくして、謝った。



そして店長は、ふう、とため息をひとつついてから、言った。



「まあ、でも、この子がかわりに働いてくれるっていうからよ」



…え?



「この子…って…?」



店長の視線の先では、紗江子がまだクスクス笑いながら、こちらを見ていた。





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