シャンゼリゼで待ち合わせ
「そういうことだから、出発まで、ご指導よろしくね、センパイ!」
紗江子が、隣りに座る私の肩をポンッとたたく。
でも、私は何がなんだかわからなくて、ボーゼンとしていた。
「おいこらっ!彼女、今日からさっそく入ってくれるらしいから、責任もって教えてやれよ!」
「わわっ!はいっ!」
店長の怒号に弾かれるように立ちあがって、私は急いで着替えて、お店に出た。
でもまだ状況が飲み込めてないんですけど…。
しかめっ面で売り場に出ると、そこでは、同じ制服を着た紗江子が、私を待っていた。
今日は平日だから、もともとバイトは私だけ。
そこに加わった紗江子に、店長に言われるがまま、空いた時間を使って仕事を教えた。
「とりあえず、ケーキの名前や種類を覚えてもらわなきゃね」
「了解!」
紗江子は元気よく返事をすると、ポケットからメモ帳とボールペンを取り出した。