シャンゼリゼで待ち合わせ



「そういうことだから、出発まで、ご指導よろしくね、センパイ!」



紗江子が、隣りに座る私の肩をポンッとたたく。



でも、私は何がなんだかわからなくて、ボーゼンとしていた。



「おいこらっ!彼女、今日からさっそく入ってくれるらしいから、責任もって教えてやれよ!」



「わわっ!はいっ!」



店長の怒号に弾かれるように立ちあがって、私は急いで着替えて、お店に出た。



でもまだ状況が飲み込めてないんですけど…。



しかめっ面で売り場に出ると、そこでは、同じ制服を着た紗江子が、私を待っていた。



今日は平日だから、もともとバイトは私だけ。



そこに加わった紗江子に、店長に言われるがまま、空いた時間を使って仕事を教えた。



「とりあえず、ケーキの名前や種類を覚えてもらわなきゃね」



「了解!」



紗江子は元気よく返事をすると、ポケットからメモ帳とボールペンを取り出した。





< 13 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop