シャンゼリゼで待ち合わせ
泣かないでよ、と言われても、もう遅い。
紗江子の気持ちがうれしくて、次々と涙が溢れ出してしまった。
もう、止まらないよぅ。
「私のわがままに巻き込んじゃって、ほんとごめん」
紗江子は、え~まじで、と言いながら、あわててキョロキョロ店内を見回した。
そして、お客さんが誰もいないことを確かめて、泣きじゃくる私を、ギュウっと抱きしめてくれた。
「わがままなんて思ってないよ。彼氏に会えないのに我慢してる怜奈はえらいなぁって、いつも思ってたんだから」
「うー…紗江子ー…ありがとうー」
「私にできることは、なんでもやらせて」
「うぅー…ありがとー…」
ありがとうしか言わない私を、何回言うのよ、と紗江子は笑った。