シャンゼリゼで待ち合わせ
ランチタイムには、クイズ形式で、私がケーキの写真を見せて、紗江子に名前を当ててもらったりした。
「えーと、これはね、クリーム…」
「違うよ、クレーム」
「ええー、もう。どっちでもいいじゃんよ」
「だーめ。これくらいでそんなこと言ってたら、覚えられないよ!」
「スパルター!」
ええ、スパルタですとも。
でも、本当に感謝しているんだよ。
「ねえ、そういえば」
ふと思いついたので、真剣にカタカナと格闘する親友に、話しかけた。
「んー…?バナーヌ…」
「お土産、何がいい?」
と聞いたとたん、紗江子は、単語帳に夢中だったくせに、バッと顔をあげた。