シャンゼリゼで待ち合わせ
「お土産?!フランスの?」
紗江子の瞳が、いつにも増してキラキラと輝いている。
「…それ以外、どこがあるのよ。いいよ、成田空港のお土産とかでも」
「あーねえ、もう考えてあるの、欲しいもの!」
…いやな予感。
「ヴィト…」
やっぱり!
紗江子がブランド好きなの、忘れてた!
「わぁぁぁー!!」
すかさず手の平で耳を押さえて、聞こえないフリを敢行。
「あ!もうこんな時間!午後の講義に遅れちゃう!!」
「ちょっと怜奈!自分で聞いておいて、なによー!」
叫び続ける紗江子を置いて、私は耳を押さえたまま、足早にその場を去った。