シャンゼリゼで待ち合わせ
そのあとには、空港での手続きとか、到着時間についてが、長々と書かれていた。
点灯式当日ー?
しかも15時45分着って…点灯式に間に合うのかなぁ。
「あらぁ、ずいぶん強行スケジュールなのねぇ」
背後ののんきな声に振り向くと、ママが立っていた。
「ママ、覗き見しないでよ」
するとママは、ふふん、とのけぞって目を細め、不敵な笑みを、私に向けた。
「よかったじゃないのー怜奈!」
ママは、私のこめかみを、拳でグリグリとやった。
「痛いよぅ、もう!」
「大学受験の真っ最中にフランスに旅立たれて、ママはどうなることかと思ったけど、祐太くん、あんたのこと忘れてなくてよかったわねー」
忘れるわけないでしょ!とこめかみを押さえながら言うと、ママは、
「はいはい、失礼しました。とにかく、ぬかりないように準備しなさいよ」
と、ケラケラ笑いながらリビングに行った。
それにしても、祐太がパパやママのお気に入りでよかった。
そうじゃなきゃ、こんな強行スケジュール、親が許すはずないもんね。
いよいよ具体的になってきた!