シャンゼリゼで待ち合わせ
それから、次は、紗江子にお礼を言う番だ。
「紗江子、いろいろありがとね。ほんと助かった!お土産、期待してて」
「えへへ、いいって気にしなくて。楽しんできてね、10ヶ月ぶりの再会!」
うん、と言って、今度はふたりだけで、抱き合った。
さっき係の人に預けたスーツケースの中に、紗江子が好きなブランドの最新カタログがこっそり忍ばせてあることは、彼女には内緒。
最後に、パパとママに、行ってきますと言った。
「ちゃんと食べるのよ」
ママは、私が旅行に行くとなると、いつもこのセリフ。
「大丈夫よ、祐太もいるし」
「そうね、祐太くんによろしく」
「うん」
「怜奈」
「なあに、パパ」
「祐太くんに、娘にさみしい思いをさせるなって言っとけ」
「そんなのパパが言わなくても、自分で真っ先に言うわよ」
「ははっ。それから、たまには日本で一緒に呑もうって」
「うん、そっちは伝えとく」
パパったら、私の心配よりも、祐太に会いたい気持ちのほうが大きいみたい。
そういえばパパは、息子も欲しがってたって、ママに聞いたことがあるのを思い出した。
残念ながら、私が学生のうちは、祐太が正式な息子になる予定はないけどね。