シャンゼリゼで待ち合わせ
祐太の指示は的確で、私のようなフランス語さっぱりな人間でも、順調に目的地と思われる辺りに行くことができた。
それはよかったのだけど…。
だけど、一体、この人だかりは、なんだろう…。
スーツケースをガラガラやって歩く日本人を、たくさんの外国人が、からかうように見てくる。
でも、ご覧の通り、私は必死なのよ。
異国人(ここでは私が異国人か)の視線など、いちいち気にしていられないわ。
それにしても、電話で言われた、ピザ屋のある交差点に辿り着いたものの、こんな状態では、暗くなる前に見つけてもらえるかな…。
「あ、そうだ、電話」
着いたよ、と言えば、すぐに来てくれるかもしれないと思って、バッグから携帯を出した。