大人の恋がしてみたい
「怖い?」
「はい。怖いです。凄く。」
「じゃあ、なぜ逃げないのですか?」
「逃げたりはしません。決して…いえ、昔のあたしなら、きっと、逃げていたのかもしれません…」
「なぜ、ですか?」
「昔のあたしは、まだまだ、世間知らずな子供で、ただ、毎日が楽しければ、それでよくて…
好きな人のそばにいられるだけで
それだけで、全てが幸せで、そんな、あたしが、結局は、知らない間に、その人を、傷つけてしまっていて
それに、泣いてばかりいたから…。
余計に、苦しめていた事も気づけずに
たくさんの人に迷惑ばかりかけて生きていました。」
「ーーーそうだったな…」
「えっ…?」
啓太のお父さんが、一呼吸おいて、話し始めた…