イケメンキス魔にご用心!?

「-…ッてわけ。
10年も前のトラウマ
引きずってるなんて
笑えるでしょ?」



思い出すだけでも
寒気がする。

そんな様子を
悟られたくなくて
無理やり笑いながら
話した。


「さっきも言っただろ?


ムリすんなよ


そんな怖い想いして
トラウマにならない方が
すげえッて」
「でも…」
「女の子はちょっと
か弱いくらいが
ちょうどいーの!

それに…
今の家族は
優しくして
くれてんだろ?」
「うん…」
「なら…よかった」



彼の言葉に
心がじんわり暖かく
なるのがわかった。

繋いだ手からも
暖かさが伝わってくる。



暗闇にも慣れてきて
空河楽斗の顔も
なんとなく見える。


"よかった"


そう言った時の
彼の顔は

本当に優しい表情だった


この人はまるで
自分のことのように
あたしを心配してくれる


だからなのかな。


よりによって
明らかに軽そうな
こんな男に

今まで親友にしか
話せなかったような
過去を話して
しまったのは…


< 63 / 311 >

この作品をシェア

pagetop