【実話】ただ、普通の幸せがほしかった
右手に持っていた
ハサミをじっと見つめ…

左手首にあて手首を切った。


少しずつ、手のひらに血がたれていった。


手首の痛みが、心地よかった。


手首の痛みより、
心の痛みの方が、
私には何倍も痛かった。


そして、その血を見て久しぶり私は、笑った。


「これで、
らくになれる…

やっと苦しいことから逃げられるんだ

何もかもおわりにできる

よかった…」


その瞬間、嬉しさで涙がこぼれた。


胸に強く縛られた紐がとれたみたいで、
気持ちがすーっとして心地よかった。


そして、そのまま、そっと目を閉じた。

しばらくすると、
遠くの方から

かすかに私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「佐々木ー、佐々木ー!!」


「誰?勘違いだよね…」


でも、その声は、
どんどん大きくなり私のいるトイレの中まで聞こえてきた。


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