【実話】ただ、普通の幸せがほしかった
その時、お客さんから言われた言葉を思い出した。


“コネ”がないと
芸能界は、むずかしい。


そして、食事を終え川上は、私に封筒を渡してきた。


「これ何ですか?」

「見ればわかるよ」

黙って封筒を開けると中には、現金が入っていた。


私は、思わずびっくりして、すぐに封筒を返した。


「こんな大金、受けとれないです」


「いや、いいんだ、

僕が、君を気にいっただけなんだから、

それより、こないだの話、前向きに考えてくれた?」


「それは…」


断りたい、でも、
あの時言われた言葉が、頭をよぎる。


“女優”になりたい…


なかなか答えられずにいると川上は、
場所を変えて飲みなおそうと言ってきた。


私は、言われるがままについて行った。
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