【実話】ただ、普通の幸せがほしかった

耳が聞こえない

バイトをしながら
レッスンをする日々。

遊ぶ時間などなく、レッスン以外は、
ほとんど生活のためにバイトばかりしていた。


でも、そんな生活でも私は、満足だった。

その日も昼間から芝居の稽古だった。

でも、バイトで疲れているせいか、
稽古に集中できずにいた。


疲労からくる風邪だと思い軽く考えていた。


でも、薬を飲んでも症状は、よくならなく、日に日にひどくなっていった…。


激しいめまいに頭痛、吐き気が、毎日のようにくりかえされた。


そんな中、久しぶりに友達と電話で話をしている時だった。

友達の声が、いつもより、小さく聞こえ不思議に思いながらも、疲れのせいだと決めつけていた。

「もしもし、何か
最近、電話とおくない?」

「えっ、そんなことないよ。
私は、平気だよ。
最近、疲れてるんじゃない?」

「そうかもね」

「ねぇ、一度、病院に行ってみたら?」

「そうだね…」

自分の耳に違和感を感じながらも気にすることは、なかった。

そして、耳の違和感は、電話だけでは、すまなくなっていた。

芝居の稽古をしている時でも話を聞き逃すことが多くなっていた。
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