黒衣の牙狼
― 白い空間

その高級マンションの一室は、そう呼ぶのがもっともふさわしかった

家具や調度品は、すべて白で統一されている

初めてここに入った人間が必ず言う言葉
「人が住んでいるとは思えない」

・・・そう

この部屋には生活感がなかった

竜崎はソファから立ち上がると、インターホンを鳴らした相手を確認するためモニターを見た

「・・・ヒビキか」

画面には、マンション一階の入り口に立つ男が映し出されていた
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