黒衣の牙狼
いきなり名前を呼ばれ、奈美はビックリして振り返った

(・・・・・・・・・あれ?)
誰もいない

いや、人はいるけど、みんな奈美を無視して通り過ぎていく

(空耳かな?)
首をかしげた後、再び歩きだす

「おい!」
背の低い男の子が、正面に回り込んできた

いや、男の子というのは正確な表現ではない

背が低いだけで、年は奈美とそれほど変わらないだろう

「アンタ、日高奈美だろ?」
男が両手を腰に当て、見上げる

「そうだけど?」
奈美が見下ろす

「待ちくたびれちまったぜ」
男は「やれやれ」と肩をすくめた
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