黒衣の牙狼
(・・・・・・・・・。)
息を飲む奈美

いつも屋敷で見ている、おちゃらけたユーシンはそこにはいなかった

冷たささえ感じさせる眼差しで自分を見つめている

「危ねーから。お前は帰れ」
静かな口調で言うと、ユーシンはそのまま歩きだした

ボーゼンと立ちすくむ奈美

「よぉ」
竹虎が前に進み出る
ユーシンの背中を見つめながら
「奈美の言葉を代弁してやるよ。今から行く場所には、敵がウヨウヨいる。2人で行っても無駄じゃねーの?」
言い終えると奈美の方に振り返り
「だよな?」

「そ、その通りッ!!」
激しくうなずく奈美
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