黒衣の牙狼
「入るぜ」
無造作にドアを開け放つ

― 室内は、これまで通ってきた2階、4階と同じだった

炎に照らされる壁

影が動く床

「待ってたよ」
窓枠に寄りかかっていた男がつぶやいた

長いストレートの黒髪を、後ろで束ねている

「階段で来るのはキツかっただろう?」
ユーシンに向かい、男が缶コーヒーを投げた
「ひと息つけよ」
言いながら、飲みかけのコーヒーをかたむける

右手に缶を握り、ユーシンがたずねた
「・・・・・・竜崎か?」

「そうだ」

「・・・・・・そうか」
想像とはまったく違う相手に、苦笑する
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