踏切を越えれば
世界止めて

なんて言えなくて

今声をだしたら涙声になるので声がだせない。

ただ阿部孝裕に引っ張られるだけだった。

靴箱に着いてやっと一言。
「靴、はけ」と言われただけだった。


阿部孝裕の声が恐くて
素直に従ってしまう。


俯く私の手首を掴むとまた
走り出した。




まだ走るの!???
と冷静になったころ
阿部孝裕の足も止まった。


着いたのは、昔よく二人で来た
海だった。


阿部孝裕は
海岸に勢いよくおりていき、
上にいる私のほうをみた。


< 14 / 23 >

この作品をシェア

pagetop