ホワイトデーまでの賭け(短編)
第4章
それからと言うもの、俺は自宅に帰る度に何かしらダイニングに置いて来るのが習慣になった。
ある日は子どもたちの分も考慮したり、琴絵にだけだったりしたが極力、形が残らないものを選んで「お疲れ様」とメッセージを添えてきた。
それでもそのことに関する返事はなく、空しく携帯を閉じる日々が続いていた。
まだ、就学前の保育園に通う子どもたちを抱えて朝からフルタイムで働く琴絵にはそんな時間も取れないのだろうと、半ば諦めていたがさすがに半月もほおっておかれると虚しさも倍増する。
「あの時………」
そんな時、俺たちの初めてのバレンタインを思い出した。