ホワイトデーまでの賭け(短編)
……年も明けたばかりの1ヵ月前のこと。
俺、坂城 栄介(サカキ エイスケ)は嫁である琴絵(コトエ)と自宅のダイニングで静かなる争いをしていた。
喧嘩の原因は俺の帰宅時間らしい。
営業部に属している俺が、給料が安い割りには接待や雑務に追われ帰宅が0時を回る事もそう珍しいことではないし、休日返上も少くはない。
まだ小さな子を2人も抱えて、家庭を支えようと外に働きに出てまで頑張っている琴絵がもう限界だと言い出したのである。