ホワイトデーまでの賭け(短編)

深夜3時。
琴絵と子どもたちが眠る部屋に細心の注意をはらい、シャワーを浴びた後、寝室にあるスーツを取りに行った。


着替終わると昼間スーパーで買った小さな紙袋をダイニングテーブルの上に置いた。



気の利いた言葉は書けないが、買った時に付いてきたカードに琴絵の名前と短く「お疲れ様」とだけ書いて紙袋に添えた。


「これであいつの気持ちも少し変わってくれたらいいんだが………」



叶うはずもない淡い期待に自分でも恥ずかしくなり、思わず失笑していた。



電気を消し、静かに扉を閉めると再び夜の街へ戻り朝を迎えた。




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