ホワイトデーまでの賭け(短編)
第3章
いつものように気怠い出勤に栄養ドリンクを流し込んだ身体にカツを入れた。
都内の真ん中にある会社は大手だけに沢山の社員が行き交う。
俺は今日の営業先を確認するため、営業部へと足を急がせた。
会社に入るといつもとなにかが違って感じた。流れる雰囲気が違うのだ。
給湯室の前を通った時に、女性社員の会話が聞こえてきた。
「ねぇ、今年は何個配った?」
「ん~。私は10個くらいかな?」
「え~少いね~。私は30個だよ」
いったいなんの話をしているのかと思えば、どうやらホワイトデーのお返しの算段らしい。
「ホワイトデーか……」