妹なんていらない
「えへへ…誰だと思います?」



千鶴がいたづらっぽく笑う。



これを作った人物?



………とりあえず母さんと雨宮は除外だ。


あの二人が料理に関して失敗なんてめったにないだろう。

(雨宮がたまに母さんを手伝うのだが、そのときの包丁さばきは料理番組を見ているかのようだった)



となると、千鶴?



いや、千鶴はお菓子づくりが趣味だったはずだ。


前にクッキーやアップルパイをもらったが、あれは絶品だった。



………まさか、勇人が?



嫌だ、やつが作ったやつなんて死んでも食いたくない。


何が悲しくて誕生日に男の手作りケーキを食べねばならんのだ。



「言っておくが、俺じゃない」



「………は?

い、いや…ちょっと待て。
消去法でいくとお前以外………」



そこで、ハッとした。


いたじゃないか、もう一人。


料理と無縁。


とことん不器用な女………



「実はですねぇ………


なんと、みぃちゃんです!!」



………俺の妹、高橋美波がいたじゃないか。
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