妹なんていらない
「み、美波が…?」



驚きを隠せない。


いや、だってありえないだろ。


俺のことを部屋のほこりと『=』で結ぶようなやつだぞ?



「もっと言うとね、このお誕生日パーティーも美波が計画したのよ」



今まで黙っていた雨宮が笑いながらそんなことを言う。



美波が計画?


何故?



「お前にな、恩返しがしたかったそうだ」



俺の疑問を察してか、勇人が説明を入れる。



いやいや、恩返しだって?


ないない、それはねぇよ。


どうせケーキに何か仕込んでいるに違いない。



「みぃちゃん、こう言ってました。

『純一はね、いっつも私を助けてくれるの。

私がどんなに邪険に扱ってもね、最後は私の味方をしてくれるの。

だからね、たまには私が純一に何かしてあげたいんだ』

………って」



「……………」



言葉が、出なかった。


美波が、俺に。


あの美波が、そんな風に。


…考えたこともない。


そんなこと、考えられるわけがなかった。
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