妹なんていらない
すやすやと寝息をたてて眠る美波の姿はいつもと違い、とても幼く見えた。



そして、ふいにかわいいだなんて思ってしまう。



美波は、いつも俺に対して敵対心むき出しで、俺もそれに応えるかのように反抗していた。



でも、今はどうだろう。


無防備に眠る美波を誰が憎らしく思うだろうか。


自分のためにこんなにがんばってくれた美波を、誰が嫌いに思えるだろうか。



「………ありがとな、美波」



そっと起こさないように美波の頭をなでる。



美波は、ん…、と声をあげたが、すぐにまた寝息をたてだした。




「さあて、美波を起こしちゃ悪いし、私たちだけでお誕生日パーティーといきましょう!」




雨宮がニコッと笑ってそう言う。



俺はそれに応じ、みんなのもとへ足を進めた。
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