妹なんていらない
「もう一度話しておくれ、輝く天使。

まさしくそうだ。

あなたは人々がうち退いて見つめる、天上からやってきたお使いのように、ぼくの頭上にいるのだから」



「おお、ロミオ、ロミオ。
あなたはどうしてロミオなの?

私を想うなら、あなたのお父様を捨てて、お名前を名乗らないでくださいな。

もしそうなさらないなら私への愛を誓ってほしいですわ。

そうすれば、私はキャピレット家の人ではなくなりましょう」



妹相手に俺は何を言っているのだろう。


いや、そもそも俺は何をしている。



もう9月だぞ。


センターまで4ヶ月ちょっとだぞ。



それなのに俺は…




「もしあなたがロミオという名前が気に入らないのであれば、もうぼくはロミオではない。

恋人とでも何とでも好きなように呼んでくれ」



ああ、なんつーセリフだ。


俺の勉強を邪魔しないでくれ。


俺はただの高校三年生。


現役の受験生なんだよ…
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