妹なんていらない
「………なんだ、随分とやつれた顔をしているな」



「よお………」



教室に入り、自分の席に着くなりぐったり顔を伏せる俺を見て、勇人が声をかけてきた。


てか、この金髪馬鹿は受験のときも金髪なんだろうか。


いい加減染め直せよ…



「勉強するのはいいが、そう疲れきった顔をされるとな…」



「あいにく勉強じゃねぇんだよ…」



「勉強じゃない………

ふむ、お前も夜遊びするんだな」



「あのな…
勉強しなかったら非行に走るみたいな言い方はやめろ。

文化祭の練習だよ、文化祭」



すると、勇人は眉をひそめた。



「文化祭?

なんだ、たしかにMCは三年だが、お前は立候補していないだろう。

それともバンドか?

いや、お前の一、二年時の選択科目は美術だったな…」



「美波の練習。

ロミオとジュリエットをやるんだとさ」



「ほう、ロミオとジュリエット。

これは楽しみだな。

お前の妹のクラス、全体的にかわいい子が多いからな。

結構盛り上がると思うぞ」



何故三年のお前が身内がいるわけでもない一年のクラスの女子のレベルを知っているのか、とはつっこむまい。


最近思うんだが、こいつは結構危険なんじゃないだろうか。
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