会いたいよ…
「私…
事務の村尾さんに
聞いたんです!
それやのに…
キーチセンセーを
早く
返してください。」


それだけ言うと
彼女は
私の横を
風のように
走り去っていった。


たぶん彼女は
私に
見られているなんて
気付かなかった
だろう。
だけど私には、
名前も知らない
彼女の頬に
大きな雫が
落ちた瞬間を
後々まで
鮮明に記憶していた。


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