会いたいよ…
無意識に伸ばした
私の手に
硬くて細い
そんな感触のものが
握らされる。
もう一方の
手にかけられた
スプリングコートが
それを催促する。


「ありがとうございます。」
そう言って
見上げた先に
はにかむ口元が
少し躊躇ってから揺れる。

「松本さん、
 ちゃんと
 ご飯食べてる?
 折れそうな腕やん?」
関西人にとっては
何気ない語尾。
それなのに、
東京生まれの私には
何だかくすぐったい。


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