アイニージュー

レイ

蟹殺レイは、恋をしている。

誰に?

先輩に。

先輩?

荒丘高校三年生の亜田先輩に。

そりゃもうとてつもない恋だ。

どのくらいの恋かというと、東京ドーム23個分だ。

今、彼女は学校の門の前にいる。

なぜ?

亜田を呼び出すことに成功したからだ。

授業中にも関わらず、

メールで誘ってみた結果、

サボって出てきてくれると言うのだ。

門の前で、レイはドキドキしている。

(あたし…先輩の前で上手く喋れるかな…)

まだ、告白するつもりではない。

ふと、急に、会いたくなったのだ。

(頑張れ…頑張るんだあたしぃぃぃぃ)

じゃり。

足音。

来た。

この足音は、

先輩だ。(←なぜ分かる)

レイの鼓動はいっそう早くなる。

*どきどき*

じゃり、じゃり、じゃり…

足音がどんどん近づく。

と、そのとき。

(…影?)

影が、レイを覆った。

そしてレイの体は、その影に引っ張られた。

「ひぁ」

と叫ぶ間もなく、彼女は影の中へと…
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