赤の疾風
【……萬天様。
考え直しては下さらぬか?
貴方様と我らの神通力を用いれば、この紅蓮山のどの妖怪にも負けはせぬ。
赤き唐傘の狸も……、
炎尾の妖狐ですら、打ち負かせましょう。
さすれば我らは、先代の目論見通り、紅蓮山を三分していた結界を打ち破れまする。】
紅蓮山に棲む三匹の大妖怪…。
それらを三分していた結界が切れれば、一体どうなるか…。
そんなことは、萬天が一番よく知っているつもりだった。