赤の疾風


萬天が口を噤んでしまったのを見ると、邪鏡は大きく溜め息を吐いた。


【…やれ情けなや……。
自分が逃げ続ければ全てが解決するという考え…。
まっこと情けない。

もっと広い目をお持ちにならねば、もっと大切なものを失うというのに。】


邪鏡の、意味ありげな言葉に、萬天は胸にざわめくものを感じた。



「……どういう、意味だ…?」



大切なもの。

そう言われたとき、萬天の心に浮かんだのは―――


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