赤の疾風
【娘に手を出したのは我らではござらぬ。
しかしながら、放っておけば娘はじきに死ぬ…。
萬天様ご執心の、人間の娘が…。】
邪鏡の顔には、少しの恐れも見られない。
萬天はそのことに更に苛立ち、邪鏡をそのまま松の木に叩きつけた。
【……っぐ!】
「……貴様、他の烏天狗達に見張らせていたのか。
拙と、梳菜を……!」
邪鏡は答えは言わなかったが、代わりに萬天に向かって、不敵に微笑んでみせた。
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