赤の疾風
焦りを抑え、目を瞑り考える。
真っ暗になった視界。
そして瞼の裏に浮かんだのは、やはり梳菜の姿だった。
―――梳菜……、お主なら、どうする…?
その問いに答えるように、記憶の中の梳菜は、笑顔で言った。
“人様に喜んでいただけるのは、とても嬉しいことではありませんか?”
この場に、本当に梳菜がいたら、彼女は間違いなくこう答えることだろう。
……自分一人の犠牲で済むのなら、喜んで、…と。
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