赤の疾風
共
―――
意識がない筈の、暗い暗い夢の中でさえ、病による苦しみは伝わってきた。
胸に、杭でも打たれているような感覚だ。
……このまま沈んでしまえたら、きっと楽なのだろう。
沈んでしまえたら……―――。
「………っ、だめ……!」
そこで、梳菜は完全に覚醒した。
…だが、開眼直後に見えたものは、慣れ親しんだ宿屋の天井でも、吉代の顔でも、
萬天の顔でもなく……、
「……こ、こは……?」