赤の疾風




……だがここで止めたとなれば、少女一人に怖気づいたと思われるのではないか?

そんな余計な考えが、小窪を突き動かした。



「泣き止め、餓鬼め!!
鬱陶しい奴だ!!

今すぐ獄門にかけてやる!!」


その姿に迷いはなかった。

利き手に刀を握り締めると、空いた手で梳菜の頭を地面に強く押し付ける。


「あう…っ!!」


病を背負った身でありながら、よくここまで耐えた。

そう、言い訳じみた言葉を贈り、小窪は心の中に生まれた罪悪感を振り払うように、刀を構え、


「おれがっ、悪いのではない…!!」


一気に振り下ろした。


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