赤の疾風
小窪は呻く間もなく、弧を描くように綺麗にその場から吹っ飛んだ。
「ぐぶっ!!!」
打ちどころが悪かったらしく、着地直後の小窪はなんとも汚らしい呻き声を上げた。
それに構うことなく、萬天は身を翻すと、身動き取れない状態の梳菜を優しく抱え上げた。
「梳菜、怪我はないか!?」
「あっ、は、はい!
平気、どす…!」
突然抱えられて驚いたものの、やはりさっきのような苦しさはない。
それは、確かに萬天に触れられたときだけに起こっていた。
梳菜の頭の隅で、ひとつの予想が出来上がっていたとき、