赤の疾風



…梳菜に思い入れがあったのは、自分と彼女を重ねていたからではない。


母親を失い、疎外され、散々苦しんできた彼女に同情したからでもない。


一風変わったものを言う彼女が、面白かったわけでもない。



ただ純粋に、少女に惹かれたにすぎないのだ。



…あの雨の日、本当に死すら考えていた自分を、少女はたった一言で救い出してくれたのだから。




“…つ、次は是非、おいでくんしゃいませ…!”




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