赤の疾風


―――梳菜、お主は、本当に何気なく声をかけたに過ぎないのだろう。


―――だが、あの一言が、どれだけ拙にとって意味がある言葉だったか、お主はきっと分からんだろうな。


―――たった一人の、愛しい女のために、同胞を危険に晒すこの馬鹿な男を…、梳菜は許してはくれんだろう。



―――だが……―――。



「……拙はそれでも、梳菜一人が大切なのだ。」



「萬天、殿……。」




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