赤の疾風


老夫婦の指摘通り、梳菜は数日前と同じような白い頭巾を被っていた。

髪と目をすっぽりと覆い隠しているそれに、夫婦はひどく不快に思ったらしく、


「どうした?早う頭巾を取らぬか。」


苛々と指を動かしながら、いぶかしげな眼差しを向けるのだった。



…ここまで言われるなら、素直に取ったほうがいいのかもしれない。
だが、それが出来ない理由が梳菜にはあった。


「…も…申し訳ありゃしません…。わたしも仕事が押しておりやす故に…。」


いそいそと出て行こうとすると


グイッ


突然女のほうに手を引かれた。



「ほら、早くお取りよ!」

「や、やめ……っ!」



そして抵抗する間もなく…


梳菜の頭巾は剥ぎ取られた。


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