赤の疾風
林火は微かに笑みを浮かべると、自身の小さな炎の体を、
――ゴウゥッ
一瞬にして、大きな赤い炎の渦へと変化させた。
その渦は小窪だけでなく、処刑場、更には、外に立っていた観衆達までも巻き込み、大きな火の海と化した。
「……も、燃えてまいます…!!」
間一髪で萬天により、屋根の上へ逃れた梳菜は、眼下の凄まじい光景に目を覆いたくなった。
さっきまで、なんて酷い人達だと思っていたのに、その人間達が全員火に飲まれてしまったのだから。